[pp.291-296]
篠木 幹子,宇佐美 誠史 (岩手県立大学)
要旨:
近年,地方部では公共交通離れが進んでいる。自動車利用から公共交通利用へと行動を変化させる要因を探求するために,本研究では「公共交通に対する重要性の意識」が個人の行動に与える影響を,調査データをもとに実証的に検討する。分析の結果,(1)公共交通利用者は年齢の高い女性であるのに対して,自動車利用者は年齢がそれほど高くない有職者である,(2)自動車利用者ほど,公共交通での旅行時間を長く見積もり,事故死リスクや公共交通の重要性を低く評価する,(3)公共交通の重要性に関する意識は,旅行認知や事故死リスクの認知のゆがみを抑制する可能性がある,ということが明らかになった。
キーワード:
公共交通の重要性,意識と行動,社会的ジレンマ,認知的不協和