[pp.99-104]
中尾 史郎,江種 伸之 (和歌山大学)
要旨:
紀の川集水域に生息する準絶滅危惧種エサキアメンボのメタ個体群構造を明らかにする目的で,2000ha以上の範囲の溜池と河川の104か所における2年の存否情報を記録した。この地域における飛翔距離は一般に400-500m程度と推定した。3つの独立した生息場所群を認め,そのうちの1つにおけるメタ個体群動態を記述するためにパッチ占有モデルを使用した。生息場所の質とパッチサイズを考慮した空間明示モデルが実際の分布情報に最もよく適合した。
キーワード:
生物保護,メタ個体群,移動と定着,生息場所の質,パッチ占有モデル