[pp.93-98]
ダニエル アザリアス ションゴ,長澤 良太 (鳥取大学)
要旨:
サバンナ生態系において,火入れという行為は多くの草食性野生生物の生息地管理のためにきわめて重要である。アフリカ大陸における最大規模を誇るクルーガー国立公園(南アフリカ共和国)でも例外ではない。そこで,火入れ地の分布とその後植生の回復過程および野生生物の出現頻度の関係について,リモートセンシングとGISを駆使した解析を行った。火入れ地の分布と植生の回復過程については,Terra/MODISの16day NDVI合成画像から検討した。一方,指標とした草食性大型動物はアフリカ水牛,ゾウ,サイの3種で,公園レンジャーによって目撃確認された地点をGISデータ化して用いた。その結果,アフリカ水牛とサイの出現はNDVIの値が上昇を始める雨季の始め頃から,火入れが行われた箇所の植生が回復しているところに集中することが確認された。これに対し,ゾウの場合はより多様な餌を求める習性により,火入れとその後の植生回復域とは関係なく分布していることがわかった。
キーワード:
サバンナ,火入れ,大型草食動物,野生生物保護管理,MODIS's NDVI