[pp.59-64]
鈴木 弘孝,臼井 敦史,目黒 伸一 ((独)建築研究所,(株)クレアテラ,(財)国際生態学センター)
要旨:
本稿は,2004 年8 月に実施した兵庫県姫路市の緩衝緑地(姫路緑地:中島地区)での樹木調査に基づき,胸高直径と樹高との関係から得た回帰直線の傾きとアスペクト比を基に,植栽後約30 年が経過した樹木の生長動態について検討し,今後の樹林の適正な保全と管理の基礎的データを得ることを目的とする。調査の結果,樹林の主要構成種の平均アスペクト比は60.3~77.8 であった。また,当地の潜在自然植生構成種であるアラカシ,コジイの生長が顕著であり,林冠部を占有していた。これに対して,クスノキ,オオシマザクラの高木層での構成比が低く,当地での生長は良好とは言えない状態であった。また,ナンキンハゼについては,平均アスペクト比が100 を上回りアラカシとの種間競争により肥大成長が抑制された状態にあることが推察された。
キーワード:
緩衝緑地,パターン植栽,樹林構造,アスペクト比