[pp.457-462]
久保田 泉,高橋 潔,肱岡 靖明 ((独)国立環境研究所 )
要旨:
適応とは,変化する気候に対して自然・社会システムを調節して対応することを意味する。近年,適応策の重要性に対する政策決定者の認識が急速に高まりつつあるが,影響・適応研究と政策決定とは乖離している状況にあり,その橋渡しが必要とされる。本稿では,まず,IPCC第3次評価報告書における適応の概念整理を再確認し,次に,現行の国際枠組みにおける適応の位置づけと国際交渉過程にみられる政策決定者の適応研究への期待を示したうえで,適応研究の分類や段階的発展に関する既存の整理をまとめる。最後に,政策決定に資する適応研究のあるべき姿を示し,今後の研究課題を提示する。
キーワード:
適応,適応研究,政策決定支援,地球温暖化,京都議定書第1約束期間後の国際枠組み