[pp.445-450]
櫻井 一宏,水野谷 剛,小林 慎太郎,氷鉋 揚四郎 (海洋政策研究財団,群馬県産業支援機構,科学技術振興機構,筑波大学)
要旨:
近年,地方環境税が注目されており,2003年に高知県で「森林環境税」として導入され,他の地方自治体でも導入または導入の検討がなされている。本稿では,霞ヶ浦を擁する茨城県を対象として水環境政策のための地方環境税を仮定し,その導入効果の分析を行うことを目的とする。ここで地方環境税とは,2000年4月の地方税法改正に伴って創設された法定外目的税とし,県が課税してその税収は霞ヶ浦対策などの水環境政策の財源とする。本研究で扱う政策は,下水道設置などの生活系排水処理や霞ヶ浦の底泥浚渫をはじめとする環境対策事業とした。シミュレーション分析を用いて総合的に分析した結果,地方環境税の課税によって水環境政策への支出変化が生じ,環境負荷の軽減と地域経済水準1%成長が可能であった。
キーワード:
地方環境税,水環境政策,環境・経済シミュレーション,総合評価,霞ヶ浦