[pp.421-426]
田畑 智博,白川 博章,井村 秀文 (名古屋大学)
要旨:
自治体の一般廃棄物処理事業は,公衆衛生の向上,生活環境保全,天然資源保全の役割を担っている。しかし,これらのサービスは市場価値を有さないため,サービスが持つ価値は適正に評価されてこなかった。しかしながら,これらの適切な情報を行政側が把握できないことが,住民側の事業に対する要望を考慮したごみ処理政策の実施を困難とする一因となっている。そこで本研究では,サービスの価値を定量的に評価するため,コンジョイント分析を用いて,名古屋市の世帯別一般家庭を対象としたアンケート調査を行った。調査項目は,埋立地延命化,ダイオキシン類のリスク削減,CO2 排出量削減,ごみの分別数であり,これらに利用料金をあわせて尋ねることで,各属性に対する評価ウェイトを明らかにした。これにより,支払意思額を算出するとともに,処理事業の費用対効果の評価を試みた。
キーワード:
一般廃棄物処理事業,ごみ処理サービス,非市場価値,環境価値評価,アンケート調査