[pp.367-372]
宮崎 浩之,厳 網林 (東京大学,慶應義塾大学)
要旨:
中国西部の青海・チベット高原では,近年,過放牧による土地劣化が社会に深刻な影響を与えており,生態系の保全計画の策定が急務である。本研究は,中国青海省馬多県を対象とした放牧圧の評価において,MODIS画像とSRTM地形データを用いることで,県内の牧草生産力と放牧強度の地理的不均一性を分析に反映させた。その結果,対象地域では,牧草地として利用可能な土地は一部であり,そこに放牧活動が集中し,過放牧に陥る構造を明らかにした。また,過放牧の規模は実面積としては小さいが,利用可能な土地面積との比較において大きいことを示した。本研究の方法による結果は,保全計画の策定において有用な情報となることが期待される。
キーワード:
放牧圧,地理的不均一性,青海・チベット高原,リモートセンシング,MODIS,SRTM