[pp.303-308]
沢野 伸浩 (星稜女子短期大学)
要旨:
1997年に発生したナホトカ号重油流出事故後,調査定点を能登半島の外浦の海岸線に設定し,同一の手法を用いて油残留の強度の経時的な変化を追跡した。海岸線に残留する油は海岸線に設定される環境脆弱度指標に従うとされるが,その指標による類型化は困難を伴うことが多い。そこで,海岸線基質や漂着ゴミの多寡など簡単に識別できる要素で分類し,その組み合わせと油残留時間を統計的に解析したところ,両者の間には強い相関が認められた。この結果は,海岸線に漂着した油の寿命が簡単な地形要素等の組み合わせで予測可能であることを示すと同時に,海岸線環境脆弱度の定義の一つとして利用できるものと考えられる。
キーワード:
油流出,沿岸油汚染,ナホトカ号,環境脆弱度指標