[pp.289-292]
大久保 彩子,櫻井 一宏 (海洋政策研究財団)
要旨:
本稿では,地域的な海洋環境協力の経緯を概観したうえで,東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA)におけるプロジェクトの実施状況と特徴について述べ,日本の対応と今後の課題を考察する。PEMSEAを通じた協力は,日本が東アジアで海洋の持続可能な開発という共通の価値を立脚点とした多層的な協力関係を構築していくために有用であるが,日本国内ではそうした認識は希薄である。PEMSEAのプロジェクト実施の成果を,環境改善効果だけでなく社会経済的効果を含めて評価・分析し,東アジア外交における海洋環境協力の意義を日本としてどう位置付けるのかを検討しておく必要がある。
キーワード:
海洋環境協力,PEMSEA,統合的沿岸域管理,持続可能な開発,環境外交