[pp.177-182]
山下 亜紀郎 (酪農学園大学)
要旨:
本研究の目的は,諏訪湖の自然環境の変化に対して,湖を観光資源とする観光業者がどのように対応してきたかを解明することである。アオコの発生に象徴される水質汚濁によって,観光資源としての諏訪湖の魅力は低下した。そのため貸船業者は,貸切船やイベント船を周航するなど,諏訪湖観光に新たな魅力を付加する試みを近年盛んに行っている。また冬期に諏訪湖が全面結氷しなくなったことで,ワカサギの穴釣りが不可能となった。それに対して釣舟業者は,穴釣りを模したドーム船を開発した。このように諏訪湖の観光業者は,自然環境の変化に対応するかたちで観光地としての性格も変化させ,自らの生業を維持してきた。
キーワード:
水質汚濁,結氷,観光,観光業者,諏訪湖