[pp.171-176]
小林 昭裕 (専修大学)
要旨:
本研究では,まず,過剰利用対策の根拠となる科学的知見について,利用による環境変化に関し研究上の蓄積がある米国の研究事例と日本の事例とを比較した。第二に,収容力を導入している米国での論議から,概念および計画策定の課題を整理した。第三に,適正利用のための対応策が構築されている米国を参考に,改善点を明らかにした。その結果,管理の実効性を高めるには,現在不足している科学的知見の裏づけを充実する必要性が確認された。収容力を用いた管理対策の立案に際し,科学的知見をベースとするが,価値判断と客観的記述を区分し,明瞭かつ公平な施策立案過程を構築する必要性,計画論として逐次改善を図るプロセスを確立させる必要性が確認された。
キーワード:
過剰利用,適正利用,計画手順,収容力,自然公園