[pp.159-164]
馬場 健,森本 幸裕 (京都大学)
要旨:
自然公園地域は近年オーバーユースによる生態系への影響や混雑が問題視されている。本研究ではエコツーリズム推進地域の屋久島縄文杉登山ルートを対象地とし,来訪者の資質や事前準備状況を一般来訪者とエコツアー参加者別に把握した。その結果,来訪者は地理情報に乏しく,安全情報や装備が不十分で危機管理不足であると分かった。また,エコツアー参加者は登山道で混雑を感じにくいと分かった。しかし,トイレの混雑には強い不快感を示した。自然環境への影響は排泄物汚染やゴミの散乱に強い不快感を示した。エコツーリズムによる自然環境保全を実現するには,ガイドを中心とした安全確保や不快行為防止などを徹底すべきだろう。
キーワード:
屋久島,オーバーユース,エコツーリズム,資質,ガイド,危機管理