[pp.123-128]
熊谷 樹一郎 (摂南大学)
要旨:
都市内には,市街化の過程によってさまざまな建物の密集状態が形成されている。建物の密集状態を分析するにはまず広い範囲から全容を把握した上で計画実施の優先箇所を議論する姿勢が望ましく,建物が密集した状態を定量的に広域にわたって検出できる手法の開発が望まれていた。本論では,これまでに確立されてきた街区単位での建物密集度の分析方法に着目し,グロス建ぺい率と街区間平均距離を適用した新たな建物密集度の空間分析法を提案・検討した。密集住宅市街地整備促進事業指定地区を対象とした分析では,地区の空間的な独立性が明らかになるとともに,分析結果が事業地区の候補地選定の支援情報となりうる可能性が示唆された。
キーワード:
建物密集度,街区,空間的自己相関