[pp.105-110]
黒田 貴綱,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
近年,生物多様性保全の場として休耕田が注目されており,生物の生息に配慮した効果的な管理方策と生息状況の対応関係について,その事例の蓄積が求められている。そこで地上性小型ネズミ類の一種であるアカネズミを対象として,粗放管理された休耕田における基礎的な生息状況を主にトラップ捕獲による出現位置の確認と植生状態との関係から把握した。対象地は保全緑地に指定され,地元営農者によって継続的に休耕田が粗放管理されており,そこではアカネズミの周年的な利用と定住性が確認された。アカネズミ活動量のピークと草刈り時期が重複しないことにより,その生息維持にも適応した管理方法であることが示唆された。
キーワード:
休耕田,粗放管理,アカネズミ,農村生態系