[pp.13-18]
杦本 哲史,清田 信 (大阪府立大学)
要旨:
将来の森林の炭素固定能を評価するうえで,樹種ごとに高CO2濃度下のCO2吸収能を把握することは必要である。本研究では,温帯樹のガス交換能を評価するため,20樹種についてCO2濃度350および700 μmol mol-1における個葉の純光合成速度および蒸散速度を調べた。さらに,2段階のCO2濃度下で得た値を用い,クラスター分析によるグループ化を行った。全樹種についてCO2上昇に対して純光合成速度は増し,その変化率は1.1~2.2となり,CO2上昇の影響度が異なる樹種が存在した。また,クラスター分析の結果から,CO2上昇の影響度が類似する樹種をグループにまとめ,植林樹種の選定指針を得ることができた。
キーワード:
CO2上昇,CO2吸収能,樹木,純光合成速度,蒸散速度