[pp.527-532]
阿部 宏史,新家 誠憲 (岡山大学)
要旨:
産業廃棄物は,大量生産・大量消費・大量廃棄を基礎とする現代社会の構造的な環境問題であり,効果的な排出抑制に向けては,地域の経済循環と産業廃棄物発生との関連を的確に捉えておく必要がある。本研究では,経済循環と環境負荷の関係を総合的に把握することができる産業連関モデルを利用し,国内地域の産業廃棄物排出構造を分析した。1990年と1995年の全国9地域産業連関表と種類別の産業廃棄物排出量を用いた分析の結果,主要産業廃棄物である汚泥とがれき類の排出量では,各産業部門の影響,各地域における最終需要項目の影響などに顕著な差異が見られ,各産業廃棄物の特性をふまえた排出抑制策が必要であることを明らかにした。
キーワード:
地域産業連関分析,産業廃棄物,地域経済構造