[pp.497-502]
吉田 登 (和歌山大学)
要旨:
本研究では,まず,地域通貨イサカアワーが流通するニューヨーク州トンプキン郡における財・サービスの自給割合を示す域内調達率RPC(Regional Purchase Coefficient)の2時点間の推移を分析し,次いで,既往研究に基づいて推計されたイサカアワーによる部門別取引額のデータを産業連関分析に適用し,同地域通貨イサカアワーを使った最終消費により削減される,輸送起因の直接・間接を含む誘発二酸化炭素排出量について,地域間交通を簡略化した条件の下で推計した。分析の結果,地域通貨イサカアワーの流通により年間に炭素換算で約308kg-Cの誘発二酸化炭素の削減効果がもたらされることが推計された。
キーワード:
誘発二酸化炭素,産業連関,地域通貨,イサカアワー,地産地消