[pp.401-406]
黒田 貴綱,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
都市域の谷戸におけるカヤネズミの生息動態把握と谷戸管理方法との関係を明らかにすることを目的として,多摩丘陵の谷戸においてカヤネズミの営巣確認調査を実施した。対象地を草地管理方法の差異から管理区,無管理区,水田区に区分した。管理区では草刈りによりカヤネズミの営巣環境は一時的に消失したが,草本類が伸長した8~9月に営巣が確認された。営巣植物はオギに高く依存しており,オギに代表される草本類の成長を考慮した草刈り時期の設定が必要と考えられた。カヤネズミが営巣可能な草本類の繁茂する谷戸田周辺の休耕田といった草地環境の維持は,カヤネズミの営巣機会を増加させ個体群の維持に有利に働くと推察された。
キーワード:
谷戸,カヤネズミ,都市域,草地管理