[pp.395-400]
緒方 秀仁,大澤 啓志,勝野 武彦 (日本大学,慶應義塾大学)
要旨:
神奈川県に流れる都市河川,柏尾川に生育する絶滅危惧種ミズキンバイの生育面積の季節変化および,中州形状と生育量の関係について調査を行った。その結果,夏季に急激に生長し秋季に衰退する本種の群落単位での季節消長のパターンが明らかとなった。また,中州において本種の生育が良好な場所では,水際部から中心部に向かう傾斜が緩やかであったのに対し,本種の生育が良好でない場所での傾斜は,水面に対して垂直に近かった。この結果から,本種は増水の影響を頻繁に受ける中州の緩傾斜部分に集中的に生育することで群落を維持しており,本種の生育に中州の微地形が大きく関与していることが示唆された。
キーワード:
都市河川,絶滅危惧植物,季節消長,中州