[pp.383-388]
大塚 広夫,根本 正之 (東京農業大学)
要旨:
中国浙江省の谷戸景観において,化学肥料と農薬を使用する現在の一般的農法とかつての有機肥料による伝統的農法による管理が植生構造に及ぼす影響を調査した。調査は2002年と2003年の夏季に2回実施し,全122調査区で確認された総出現種数は130種であった。解析の結果,当該谷戸景観はG型(水田放棄跡の草地),P型(水田内),F型(畦道),S型(畦斜面)に大きく分類できた。さらにP型,F型,S型の3つの型では管理法の違いに対応したそれぞれ2つのスタンド群に分けることができた。種数や多様度にも管理法の違いによる差が認められ,スブタやデンジソウが伝統的管理により出現することがわかった。
キーワード:
伝統的管理,谷戸景観,植生構造,生活型,植物多様性