[pp.325-330]
田中 孝 (函館工業高等専門学校)
要旨:
本研究の目的は,水質浄化材としての炭素繊維の環境水への適用と設置条件について検証することである。炭素繊維を接触ひも状担体として用いる生物膜法は,炭素繊維の弾性率が高く,水中でかさ高い構造となることを利用した手法であり,固着した汚泥は容易に剥離しないという特徴がある。炭素繊維を編成した人工藻に吸着した汚泥質量は設置後4~6月で一定となり,炭素繊維質量の35~39倍の汚泥が固着した。成分分析と回分試験結果から固着汚泥の栄養塩類吸着除去速度は窒素6.4~10.0g-N•kgS-1•y-1,リン1.1~2.1g-P•kg-S-1•y-1が得られた。炭素繊維藻場は維持管理が容易なことから,フィールド設置用水質浄化材として有用である。
キーワード:
炭素繊維,固着汚泥,水質浄化,栄養塩類,生物膜