[pp.309-314]
村上 和仁,田中 崇大,石井 俊夫,瀧 和夫,松島 眸 (千葉工業大学,日本大学)
要旨:
本研究では,現場現象の存在下でのデータの蓄積を目的として,現場設置型の実験生態系であるメソコズム実験により,富栄養化が進行した閉鎖性湖沼におけるプランクトンの動態と生態系構造の関係について検討を行った。その結果,ホテイアオイ,クレソンといった水生植物が存在する系では,Philodina erythrophthalma,Brachionus angularisをはじめとする大型の動物プランクトンが多く出現すること,プランクトン相についてShannon Index(H')を比較すると,生活様式の異なる生物種が共存している系,すなわち生態系構造が複雑な系において多様性指数が高くなること,ハイブリッド処理では,単純に2種類の処理法の相乗効果は得られず,場合によっては負の効果となって現れることもあることが示され,環境修復レベルの適正化を念頭に置いた環境改善手法の選択・施工が重要であると考えられた。
キーワード:
メソコズム,底質改善材,植栽浄化,N/P比,植物プランクトン,多様性指数