[pp.247-252]
大野 智彦 (京都大学)
要旨:
1997年に改正された河川法は,河川整備計画策定過程に「関係住民意見の反映」の手続きを定めたことで注目されている。しかし,上位計画である河川整備基本方針の段階で参加手続きが制度化されていないことに対しては批判がある。本稿ではこの批判について一級河川を対象に検討する中で,(1)実際には策定済みの河川整備計画の77.4%が河川整備基本方針よりも早く策定されていること,(2)そのうち98.6%は都道府県知事が河川管理を行う指定区間についての計画であること,(3)指定区間においては,整備計画の策定を先行させた場合,直轄区間との調整が十分でなければ限られた参加になる可能性があることが明らかになった。
キーワード:
河川政策,住民参加制度,河川整備計画,淀川水系