[pp.199-204]
藤沢 直樹,糸長 浩司 (日本大学)
要旨:
市町村合併が進められるなか,土地利用計画策定・調整の手法的開発や制度的開発が問われる。本稿では,筆者らが取り組む住民参画型での土地利用計画策定への調整支援研究の一環として試みた,14の旧村を単位として段階的な住民参画型ワークショップを用いた長野県飯田市での事例から,土地利用計画の決定に関する合意形成手法の実施過程を分析,その上で,今後の計画策定・調整への手法としての有効性を考察した。結果,計画段階に応じて実施した3回のWSによって,地域住民自身が,自らの身近な生活圏域である地域の市域での位置づけや,農業振興面での課題や土地利用上の課題を自覚することが可能となった。その上で,専門機関が土地利用の目標のたたき台を提示することで,農業農村計画環境や自然環境の保全を考慮した土地利用計画の策定を可能とした。このことから,市町村合併後の土地利用計画策定・調整においても,旧村を単位とした住民参画型WSを用いた,土地利用計画を策定・調整する本稿での手法は,新市町村領域での土地利用計画策定への反映は有効であると示唆できる。
キーワード:
旧村,住民参画,ワークショップ,土地利用計画