[pp.489-494]
木塚俊和,矢沢正士 (北海道大学)
要旨:
石狩泥炭地内小湖沼の水環境形成要因としての流入水と底質の性状を明らかにするため,流入水の水量と水質,底質の組成と物理的性質,底質間隙水の水質について検討を行った。水田灌漑期間中(5月~8月)の湖沼への流入水量は湖沼水現存量の2~13倍に達しており,流入水量の多い湖沼の水質は流入水質との連動性が強いことが分かった。深さ1mまでの底質を採取したが,有機物含有率は30~60%を示し,測定地点間の差異は比較的小さいこと,体積含水率は80~90%であり,大量の間隙水を含むことが判明した。底質間隙水は湖沼水と比べ,NH4-N濃度が大きく,溶存酸素(DO)濃度が小さい傾向が認められた。
キーワード:
石狩泥炭地,小湖沼,流入水,底質,水環境