[pp.439-444]
岡崎樹里,加藤和弘 (東京大学)
要旨:
都市緑地における鳥類相の退行に緑地の孤立化が関与するかどうかを検証した。複数の既往研究において報告されているデータを対象にメタアナリシスを行ったところ,出現種が最も少なかった緑地から最も多かった緑地に向かって,出現する種が徐々に追加されていくという全体に共通する単一の系列が認められた。但し,ドバト,ハシブトガラス,ハクセキレイは,出現種が最も少なかった緑地でむしろ特徴的に出現した。この種組成の変化は,樹林地面積の増加にほぼ対応しており,出現種数も樹林地面積と強い正の相関を示した。加えて,周囲に都市的土地利用が卓越する緑地では,そうでない緑地と比べて面積の増加に伴う鳥類種数の増加率が低いことが見出された。
キーワード:
鳥類群集,都市地域,都市緑地,孤立化,メタアナリシス