[pp.427-432]
押田佳子,上甫木昭春 (大阪府立大学)
要旨:
本研究では,ハマピシの種子を用いて大阪湾沿岸域における海流散布のメカニズムを把捉することを目的とした。その結果,厚浜周辺における平均到達距離は約550m,須磨周辺では約350mであり,両海浜とも漂着した種子の65%以上が海藻などに付着する散布形式をとっていた。自然状態の海浜が連続する厚浜周辺では大阪湾流に対する海岸線の角度が大きいほど漂着種子数が多くなる傾向がみられた。周辺に人工構造物が存在する須磨周辺では,突堤などの大阪湾流に対して垂直方向の構造物の積算延長が長くなると,漂着種子数が少なくなる傾向がみられた。この結果より,垂直方向の構造物は海流散布種子の漂着の阻害要因となることが示唆された。
キーワード:
海流散布,海浜植物,ハマビシ,大阪湾