[pp.415-420]
黒田貴綱,勝野武彦,小堀洋美 (日本大学,武蔵工業大学)
要旨:
自然生態系の貧化が著しい都市域において,野生生物の生息動態とその保全,維持に関わる環境要因の把握が急務となっている。本研究では,都市樹林地における食物網の安定に不可欠と考えられる生物種としてアカネズミに着目し,その生息動態について調査を実施した。アカネズミの捕獲結果と樹林構成要素との関係について解析を行い,草本層の被度・群落高,リター層の被度が,アカネズミの環境選好に関与している可能性が示唆された。また,アズマネザサが被覆する林床植生の下草刈り実施と関連して,アカネズミの利用域に変化が見られた。アカネズミの生息保全の点から,人為による強度の林床管理を避ける必要性が推察された。
キーワード:
アカネズミ,都市樹林地,林床植生,林床管理