[pp.399-402]
篠村善徳 (東京大学)
要旨:
千葉市近郊のさまざまな土地利用が混在する下総台地において,GIS と統計的な手法を用いて土地利用面積と湧水水質との関係について捉えた。対象地の湧水水質は,流域の土地利用に代表される人間活動によって濃度が高くなる。最も大きい面源負荷として畑地があげられ,特にNO3-,SO42-,Cl-については面積に応じて濃度が顕著に高くなった。また畑地より影響は小さいが下水道等が整備されていない住宅地からCa2+,SO42-の負荷が生じている傾向が示された。つまり本研究対象地では人為的な影響による水質の変化には2種類の土地利用の要因が関係し,それぞれの土地利用に対して挙動するイオンには相違が見られた。このことは従来の水質汚染による水質の化学的な進化の解明に対して示唆を与えた。
キーワード:
土地利用,湧水,水質,GIS,下総台地