[pp.349-354]
鈴木弘孝,高橋寿夫 ((独)建築研究所,(株)三菱総合研究所)
要旨:
本研究は,戦後の高度経済成長期において発生した産業公害を防止するため,住宅・市街地と工場地域との間に緩衝緑地を整備してきた共同福利施設事業を対象として,緑地整備における意義と役割について事業制度面及び事業効果面から検証しようとするものである。本稿では,前稿の検証を踏まえ,主として事業効果の側面から共同福利施設事業のうち最も投資規模の大きい姫路地区を事例として,環境事業団で開発された確率効用モデルを用いて経済価値分析を行った。この結果,総便益に占める間接利用価値の割合が7割を占め,かつ地区全体での費用便益比が2.53となり,投資に見合った事業効果の発現が明らかとなった。
キーワード:
緩衝緑地,事業効果,経済価値分析