[pp.331-336]
本田直子 (広島大学)
要旨:
本研究は,1)日本の1980年代以降のポスト高度成長期においては,社会的環境管理能力が経済成長よりも大気汚染の減少において相対的に大きな役割をなす,2)工業型大気汚染(二酸化硫黄)と自動車大気汚染(二酸化窒素,浮遊粒子状物質)では,汚染減少への要因が類型的に異なる,という仮説を,1980-1990年代の都道府県データを用いてSURモデルにより検証した。分析の結果,経済成長と社会的環境管理能力は汚染濃度を低下させ,その弾力性は後者の方が高いことが分かった。また,3物質の類型仮説については,明示的な分析結果がえられなかった。
キーワード:
社会的環境管理能力,大気汚染,SURモデル