[pp.313-318]
吉田 登 (和歌山大学シ)
要旨:
本研究では,最も流通する地域通貨の1つとして知られているアメリカ合衆国のイサカアワーを対象として,流通状況とその地域経済への影響を調査,分析した。まず,現地ヒアリング等によりイサカアワーの流通のしくみを図化し,イサカアワーで提供される財・サービスのメニュー数の推移を把握した。次に,年間の取引内容及び金額について,主要ユーザーヘのアンケート及びインタビューにより調査した。分析の結果,イサカアワーは年間に約1万1千アワー(約1200万円相当)の流通規模を有すること,また産業連関分析を用いて推計した地域通貨による乗数は1.34であり,郡経済の乗数1.2を上回る地産地消の効果を有することを明らかにした。
キーワード:
地域通貨,イサカアワー,産業連関,乗数