[pp.293-298]
坪井塑太郎,萩原清子 (東京都立大学)
要旨:
本研究では居住者の主観的な地震災害危険意識と行政により公開されている客観指標「地域危険度」との関連をリスク認知の観点から把握し,これを踏まえて避難場所としての水辺空間の活用,改善案に関する検討を行った。その結果,震災に起因するリスク認知は概ね主観・客観評価間の正相関がみられたが,発災想定に関しては加齢に伴うゼロリスク意識の増加や,情報活用によるリスク低減のためのハザードマップ認知は約半数にとどまっている傾向が明らかになった。また,地震災害時の水辺空間への避難行動は現状では高くは想定されていないが,防災・減災機能への潜在的期待が持たれており,その機能充実のためには,「親水公園型」の水辺には河畔緑量の維持が,「都市河川型」の水辺には河川側道の整備改善が必要であることが明らかになった。
キーワード:
地震災害リスク,地域危険度,リスク認知,水辺空間活用,東京都区部