[pp.353-358]
笹田 勝寛,河野 英一,島田 正文,森本 恭行 (日本大学)
要旨:
近年,残存する谷戸流域はその環境の豊かさゆえに存在が評価されている。都市近郊河川の支流としての谷戸の環境を特に水質について検討した。その結果,藤沢市を流れる河川の水質について,その支流各地点での水質は各種イオン濃度が高く検出されており,農畜産業の影響が懸念された。また,土壌浸出液と流水の水質分析の結果,上部地域からの肥料成分および家畜排泄物成分が谷戸流域の土壌および流水に影響を及ぼしているといえた。一方で谷戸の水質浄化能力は,下流に向けての窒素成分の減少によって確認された。谷戸流域の持つ機能維持のためにも上部地域での施肥管理を含む営農方法の改善が必要である。
キーワード:
谷戸流域,水質,都市近郊河川,土壌浸出液