[pp.331-334]
村上 和仁,瀧 和夫,松島 眸 (千葉工業大学,日本大学)
要旨:
本研究では,現地観測ならびに培養実験を通して,富栄養化湖沼における植物プランクトンの優占化機構の基礎的知見を得ることを目的として,種間競争に着目した実験的検討を行った。その結果,気温と照度の季節変動は必ずしも一致せず,植物プランクトンの増殖に対しては独立事象的に作用すること,珪藻の優占化には温度・照度以外の環境要因,すなわち,栄養塩類,藻類代謝産物といった間接的な種間相互作用が大きく影響していること,優占種が珪藻から緑藻への優占種の変遷は,温度または照度の上昇に依存すること,藍藻の優占化には高温度・高照度を同時に満たす環境条件が必要であること,が明らかとなった。
キーワード:
種間競争,藍藻,珪藻,緑藻,温度,照度