[pp.301-306]
鳥居 徹男,三浦 秀一 (東北芸術工科大学)
要旨:
本研究は森林資源の循環システムのあり方を考えるために,我が国における薪炭利用の歴史的,地域的な位置づけを行い,伝統的な供給方法を明らかにしている。戦前まで,わが国における木材利用の中心は薪炭利用であった。日本各地で薪炭利用が盛んに行われていたが,大量の伐採木を消費地へ供給するために様々な工夫がなされていた。河川を使って輸送を行う「木流し」という方法が当時用いられており,東北地方の地誌にも木流しに関する記述が数多く現れる。山間部から消費地までの輸送距離は,10kmから30km程度までになる。その運搬過程では薪の刻印や仮設の堤(つつみ)を設けて放流を調節するなど,独特の作業が行われる。
キーワード:
木流し,薪,伐採地,消費地,東北地方