[pp.289-294]
北野 慎一 (京都大学)
要旨:
有機廃棄物のリサイクルは,物質循環の観点からその重要性は高く,地域の環境問題を解決する方策として有用である。本研究では,「農業・農村の有する多面的機能」の一つとして有機資源リサイクル機能に着目し,その市場外価値を明らかにすることを目的とした。いずれも農業が基幹産業である北海道富良野市・京都府八木町・島根県大田市を対象に行ったアンケートデータを用いて,市場外価値の評価手法であるCVMにより,住民及び農家の有機資源リサイクルに関するサービス及びシステムの導入に対する支払い意思額(WTP)の導出を行った。その結果から,地域特性がどのようにWTPに反映されるかについて明らかにし,今後のリサイクル政策の方向性を探った。
キーワード:
農業農村の有する多面的機能,有機資源リサイクル,CVM,支払い意思額