[pp.229-234]
小塚みすず,川本 義海,本多 義明 (福井大学)
要旨:
本研究は自動車の需要と道路供給のバランスを図り,交通の円滑化と環境改善を図る政策的アプローチである交通需要マネジメント(TDM)に着目し,都市の性格がTDM施策の実施に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。そのため,全国都道府県の主要2都市ずつに対し実態調査を行い,都市の性格を示す指標をもとにクラマーのV係数による関連性分析,クラスター分析,そして判別分析を用いて,施策の実施パターンおよび施策の実施に影響を及ぼす都市の性格を分析した。その結果,(1)各施策の実施状況には差があり,環境への効果は二次的効果として意識されていること,(2)「都市規模」,「土地利用」,「都市の履歴」は実施している施策の目的と大きく関連していること,(3)「人口規模」や「戦災の有無」が施策の実施に強い影響を及ぼしていることが実証的に明らかになり,地方都市におけるTDMの適用性検証のための要件を示した。
キーワード:
交通需要マネジメント(TDM),クラマーのV係数,クラスター分析,判別分析