[pp.195-200]
齋藤 和彦 ((独)森林総合研究所)
要旨:
自然資源管理における利害関係者の合意を模索するために,対立する2者の見解の相違をCognitive Mapを用いて抽出する方法を検討した。分析の素材には,旧建設省・水資源開発公団と霞ヶ浦・北浦を良くする市民連絡会議による霞ヶ浦の管理を巡る論争を用いた。各々の見解は,文献資料をもとにCognitive Mapで表象した。両者の問題理解の相違は,Cognitive Mapおよび,その最小辺有向グラフを用いて包括的・系統的に抽出できた。今後の湖の保全施策に関する見解の相違も,最小辺有向グラフから読み取ることができた。Cognitive Mapの使用は,合意に向けて互いの問題理解を共有する過程で有効であると言える。
キーワード:
市民参加,合意形成,Cognitive Map,自然資源管理