[pp.155-160]
山本 和清,近藤 健雄,菅家 英朗 (日本大学)
要旨:
わが国では高齢化社会を迎え,交通バリアフリー法が制定されるなど,公共を利用した移動の利便性,安全性の向上が促進されてきた。これにより,高齢者の外出が容易となり,高齢者のレジャーのなかでも海洋性レクリエーション活動への参加意欲の向上がみられ,その参加意欲を支えるものとして,モビリティーの確保が重要であり,そのためには個々の施設が円滑につながり,安全かつ自由に行動できるようなサイン整備が必要である。そこで本研究では,海浜空間におけるサイン整備に着目し,海浜公園内のサイン整備状況およびピクトグラムの理解度把握を目的とした。その結果,以下のことが明らかとなった。(1)案内・誘導・定点機能をもつピクトグラムは,比較的理解度が高いことが把握できた。(2)規制機能をもつピクトグラムでは,内容を理解することは困難であると把握できた。しかし,可能・注意・禁止といった最小限の意味は理解されることが明らかとなった。(3)文字とピクトグラムを一緒に表示することで,サインに注意をひきつけ情報も正確に伝達されることがわかった。
キーワード:
海浜空間,サイン,ピクトグラム,ユニバーサルデザイン