[pp.129-134]
本間 勝,廣田 裕二,平 倫明,川口有一郎 (明海大学,(財)日本不動産研究所)
要旨:
土壌汚染が原因となって不動産価値への影響をもたらす心理的嫌悪感(スティグマ)の定量化を試みた。スティグマが汚染源を中心とした同心円状の減衰型をなし,ある一定距離以上になると消滅するという類推に基づきCVM(仮想市場評価法)を用い確認した。その結果,汚染源を最大値として,汚染源から3kmにわたり減衰型の分布を示した。よって,スティグマの分布特性は,汚染源を中心とした同心円状の減衰型をなし,3km超のある地点において,ほぼ収束するという見方が得られた。スティグマが捉えどころのないものという一般的な認識が,土地流動化の阻害の一要因になっているが,本研究によるスティグマの実態解明により,阻害の程度を低減させることが期待できる。
キーワード:
土壌汚染,スティグマ,CVM,不動産価値