[pp.113-118]
伊坪 徳宏,稲葉 敦 ((独)産業技術総合研究所)
要旨:
LCAは製品等の環境評価ツールとして定着しつつあるが,企業での意思決定のためには経済情報も加味した手法開発が望まれている。LCCはライフサイクルの観点から費用を算定するが,環境影響による経済損失を計上しない。本研究では,LCIAとLCCの双方を統合したFCAの導入の意義を検証するために冷蔵庫を対象にケーススタディを行った。代替フロンを利用した環境指向型製品は従来製品よりLCCは高かった。一方で,代替フロンに転換した製品は環境影響の低減に寄与するため社会コストが低かった。FCAの実施により両者のトレードオフについて比較でき,社会コストの低減効果が大きい環境指向型製品の有用性を見出すことができた。
キーワード:
FCA(Full Cost Assessment/Accounting),LCLA(life Cycle Impact Assessment),LCC(Life Cycle Cost),経済評価,統合化