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野村恭子,松橋隆治 (東京大学)
要旨:
環境省のCDM植林事業のFS調査の8プロジェクトを対象に,環境保全効果と事業収益性の評価をおこなった。プロジェクトの期間,面積など諸条件によって発揮する効果は異なるが,4~1,733千トンCO2の範囲の削減量を発揮し,削減効率は年間0.3千~82.5千トンCO2であった。炭素クレジットCERの価値は価格変動やアカウント方法に影響を受けるが,CER収入を含めることでNPVは上昇し,事業の収益性を向上させることを確認した。CDM植林事業がもたらす生物多様性保全機能,水源涵養機能などの地域の環境保全効果に着目し,定量評価,経済的評価の研究課題を整理し,それらを含めた事業評価の必要性について論述した。
キーワード:
CDM,植林プロジェクト,GHG削減量,環境保全効果,炭素クレジット,事業収益性