[pp.381-386]
辻 忠恭 (東京学芸大学)
要旨:
地球温暖化傾向は中緯度よりも高緯度の都市に顕著にあらわれるといわれている。そこで,高緯度の都市について都市化の影響が,いつの季節どの時刻により強く出現しているのかを現象的に把握するため,フィンランドのヘルシンキを例にして気温と都市気温の季節別・時刻別の経年変化の特徴を明らかにした。その結果,気温の経年変化は冬と春にはいずれの時刻にも上昇傾向が明確にみられ,夏においてはおおよそ低下傾向であった。これに対して,都市気温の経年変化は,冬・春にはほぼ低下傾向を示し,夏には上昇傾向であり,その中でも特に夏の20時には都市気温の上昇が大きいことがわかった。
キーワード:
高緯度都市,都市気温,ヘルシンキ,フィンランド,経年変化