[pp.335-340]
高山 範理,辻 華欧利,下村 彰男 ((独)森林総合研究所,(財)自然環境研究センター,東京大学)
要旨:
森林景観を新たな森林管理の方法として捉えていく立場から,景観としての地域個性や特徴について整理し,把握するための手法が求められている。本論では,森林景観の特徴の指標化の一環として,代表的な林業地である日田地域,吉野地域を対象として,フラクタルの概念を用いて,中景域における樹冠の輪郭線に着目した定量化をおこなった。その結果,同一樹種で配列が規則的で整然とした印象を懐かせる日田地域の森林景観はフラクタル次元が相対的に低く,不規則で雑然とした印象を懐かせる吉野地域ではやや高いなど見え方との関連が示唆され,フラクタルの概念が森林景観の特徴の指標化のための手法として有効であることが示唆された。
キーワード:
森林景観,フラクタル次元,ボックスカウンティグ法,定量化