[pp.305-310]
小島 治幸,後藤惠之輔 (長崎大学,九州共立大学)
要旨:
本研究は,諌早湾干拓事業の費用便益分析を仮想評価法(CVM)より再評価を行ったものであり,著者らは,このCVMが事業評価の過程において社会環境の価値を考慮できる一つの方法として有用と考え,適用した。その結果,社会環境的コストは325億4千9百万円と算出され,この費用を含めて再計算した費用便益率は,同事業について行われた1986年と1996年の算出結果の間の値となった。また,結論として,事業開始前に事業継続の可否を判断する社会環境コストを,市民と事業主体それぞれの立場から評価が行える資料の提出が行えるとともに,周辺住民への補償金支払い額の算定資料の提出が行えることが示唆できた。
キーワード:
公共事業,費用便益分析,社会環境要因,仮想評価法