[pp.275-280]
青木 陽二,近田 文弘,古谷 勝則 ((独)国立環境研究所,国立科学博物館,千葉大学)
要旨:
植生自然度は人間か決めるものであり,人々かどのような植生を自然だと思うかは重要な視点である。ここでは南アルプスの多様な植生景観に対して,多様な気候風土や文化的背景に居住する人々が,どのような植生に自然を感じるかを調べた。その結果,高山植物群落や亜高山樹林などに人々は自然を感じていた。冷温帯および亜熱帯の人は,シラビソ,クマイザサ,ブナ・ナラおよびモモ畑(果樹園)のような植生には,自然らしさを感じることは少なかった。住民はイネ(畑),リンゴ(畑)に,登山者はガレ場,ハイマツ,ダケカンバ,ブナ・ナラ,シラビソに,訪れる頻度の高い人はシラカシやアヤメ,チャ(畑),カラマツに自然を感じていた。
キーワード:
植生自然度,被験者評価,気候による多様性