[pp.211-216]
島田 正文,小谷 幸司,増村 千英子,濱本 和敏 (日本大学,(株)UFJ総合研究所)
要旨:
本研究では,全国343の自治体を対象に,条例に基づく保存樹木等の指定件数,指定解除,助成措置等の現状や,運用上の問題点を把握し,今後の樹木保全のあり方を検討した。その結果,過去3年間で保存樹木1,092件,保存樹林465件が指定解除されており,その主たる要因は,枯死・倒木,維持管理の手間,相続税の負担,宅地開発であることが把握された。所有者への助成措置は,管理費相当の助成金が中心であり,固定資産税等の減免措置のある自治体は少なかった。以上より,基準を強化して指定件数の拡大を図るとともに,それらを適切に維持すべく,所有者への助成金や保存樹木等の買取り資金の確保,所有者および地域住民の保全意識の向上等の必要性が指摘された。
キーワード:
保存樹木,保存樹林,条例,助成措置