[pp.121-126]
杉村 乾 ((独)森林総合研究所)
要旨:
奄美大島において1985年から2002年にかけて鳥類とアマミノクロウサギの生息調査を行い,異なる時期の調査結果を比較して生息数の変動傾向を明らかにした。その結果,20種のうち14種が減少傾向にあることが確認された。生息数の地域的な差について統計的に解析したところ,ルリカケス,アカヒゲ,ズアカアオバト,ホオジロ属,アマミノクロウサギは侵入種マングースの増加が著しい地域でより大きな減少を示した。また,オオアカゲラ,コゲラ,サンコウチョウは,マングースが高密度になる以前の減少傾向が著しく,既往の解析結果や生態的特性をもとに考察すると,壮齢林面積の減少が寄与している可能性が高いと考えられた。
キーワード:
希少種,生息頻度,森林,マングース,壮齢林